ゴダール/遺言。映画の折り返し地点で今作の制作にいたった経緯や意図を説明するゴダールの声のしゃべるのも辛そうな喘鳴の響きに何よりショックを受ける。しかしすぐにそれでもなお映画の計画について饒舌に語りつづける前向きなゴダールに、あーゴダールだなという奇妙な安堵ののち、しゃべりすぎたのか何なのか最後の声すら唐突にぶったぎって次のコマへ進めるゴダールモンタージュの荒々しさに対し、ゴダール/映画に対し、ついに最後まで唖然とする以外のどんな態度も選べたことはないのだった。

今回も1回見たくらいではどんな映画だったか把握することすらできなかったので、すぐに次の回の予約をいれてそれまでにパンフレットを読んで学習しようと思っていたのだが、パンプレットに売り切れの札が…公開初日で売り切れとかまじかとなったが、しかしよくよく聞いてみると、どうもパンフレットに不備があったらしく、発売延期になったとのこと。訂正用紙をはさむとかで済まないような不備ってどんな不備だろう、新宿武蔵野館は2週間限定上映とうたっとるんだが、最終日まであたらしいパンフレットなんて刷り上がらんだろ。いや、パンフくらいだったら公開終了後でも販売できるか。などなど残念に思いつつ2時間後の上映まで時間をつぶすために映画館を出た。

武蔵野ビルB1Fにある前々から気になっていたカフェに入ってみたが、想像以上にこだわりの強いカフェだった。

エスプレッソなどの濃くて苦味のつよいコーヒーの方が好みの私としては、あまりはまりそうにないコンセプトのカフェで、じっさい注文したコーヒーは酸味がつよくて最初の一口二口くらいしか美味いと感じられなかったが、いろんな豆があったし、新宿で軽く時間をつぶすには使いやすそうな立地でもあるので、またいつかいってみたい。新宿で時間をつぶすといえば東宝ビルのクリスピードーナッツの2Fのインテリアがいつの間にか一新されてて、尻が痛くて長時間すわれない拷問器具みたいな椅子を置きやがって、もう二度と店内利用はしないと誓った。

1時間くらいカフェで『脱獄計画』を読んで、のこりはタワレコyonigeが入荷されていないか見にいって(なかった)、京王百貨店の一保堂で抹茶を、紀伊国屋で漫画1冊を、kagayaでシガリロ1箱を買い、新宿駅の外をぐるっと回るような具合に散歩して映画館に戻った。

外出するときはクラッチバッグとかボディバッグなどの片手で済むような内容量のちいさいバッグで出かけているので、途中で買った品物を入れるためのエコバッグはより小さくより薄くたためるものをずっーーと探していたのだが、さいきんとうとう理想的なエコバッグを発見したのだった。

ポケット部分に革が使われているためかエコバッグにしては高価ではあるものの、この唯一無二の薄さにもはや躊躇はなかった。こうして長きにわたる私とエコバッグとの戦い、そう私とエコバッグとの奇妙な戦争はついに終止符を迎えたのだった。