甲斐荘展は新聞でみた春宵(花びら)という絵が見たくて行ったんだが、ほかにも面白い絵が多数あって楽しかった。あと膨大なスクラップブックの一部が展示されていたが、スクラップブックのみの展示をしてほしいくらい面白かった。私も長年スクラップブック作りたい作りたいと考えつつもけっきょく挫折を繰り返してきていたが、やはり1冊くらいはスクラップブックを作っておかねばならんなと決意を新たにするのだった。春宵は頭頂部から右の髪飾りにかけてのピントがずれたようなボケたスペースから凹凸のくっきりした太夫の顔と画面から盛り上がるような中心の右手からひじを伝い左下の未完成ののっぺりとした禿までつづく全体的に歪な空気感・立体感が登場人物二人の笑顔とあいまって想像以上の不気味さがありこれはほんと見に行ってよかった。ほかに幻覚(踊る女)のねじれた体、特に下半身とか着物の隙間からあふれてくるようなネオンみたい赤味とかもすごいよかった。畜生塚も実物が見れてよかった。総じて未完成な作品の方により興味を惹かれていた気もする。

『バービー』は映画としてはしょうじき退屈だったが、まわりの観客からは「傑作だった」と興奮した声が聞こえてきたし、ネットニュースによるとかなりヒットしてて続編の話も出てるとかなんとか、あいかわらず世の中なにがウケるのかさっぱりわかねーぜ。

絵葉書は『籐椅子に凭れる女』

今日は吉祥寺に髪の毛を切りに行って、西荻の古本屋によってから、日本茶メインのカフェにいってきた。さいきん散髪に行ったときはだいたいこのコース。『銭湯』は西荻の古本屋で今一押しの作家さんと書いてあって、あらすじ読んでも面白そうだったので買った。あらすじ↓

このあと新宿に出てK'sCINEMAで『山中傳奇』を見た。初キン・フー。めちゃくちゃ変な映画だった。それいつまで繰り返すんだよってシーンがいくつも出てきて、ベケットの小説でも読んでる気分だった(特にはじめの30分くらいは延々と山歩きがつづき、土を踏むザッザッという足音がずっと耳について気が狂うかと思った)。見終わるまで3時間超もある映画だったとは知らなくて、後半はこれマジでいつ終わんだと疑問に思いながら見た地獄のような映画だった。9月頭までにキン・フー作品あと2作は見れそうなので、忘れないようにしたい。