やたらに眠くて1日ずっと寝てた日。そういえば渋谷にいったついでにタワレコにいってみたがyonigeの新譜は売ってなかった。なんか記念本みたいなのはあったがCDぜんぜん見当たらん。

 

 

一昨日のつづきでいうと、カバーやカバー下の表紙、どちらが表でどちらが裏かも関係ないといえるかもしれない。右手のひらにくるカバーには詩人の名前とタイトル、左手のひらにくるカバーには出版元の名が来るが、そのどれがタイトルであってもいいんじゃないかと思えてならない。右から開くか左から開くかはあまり重要とは思えなくなってきているが、そのことはいったん棚上げして、今一度タイトルの問いに戻りたい。

カバー下の表紙には『手のひらたちの蜂起/法規』が斜めに記してあり、カバー上には文字がばらける形で『手のひらたちの蜂起/法規』がある。このカバーと表紙のタイトルでは法規の字が左右反転している。このことは本文(扉・37ページ・奥付)のタイトル/詩と明確な差を示している。またカバーのタイトルでは蜂起と法規を句切る斜線がなくなってもいる。デザイン上の問題としてカバーの左上を実際に切り裂いている斜めの線がそれにあたるとも思えるし、また蜂起と法規の間にある黄色く変色した手のひらのような形の枯れ葉が斜線の代わりとなっているようにも見える。もっといえば、カバーのタイトル、読者がまず一番に目にするであろうタイトルは、まるで落下してバラバラに崩れていくかのように、あるいは一文字一文字が無重力にただようにようにバラバラとなっていて、どのように読めばいいのかはっきりと把握することは難しいのではないだろうか。すべては詩を読んだあと、本文に目を通したあと、詩集を読み終わってカバーを閉じたあとにはじめて、あらためてタイトルを発見することになるんじゃないだろうか。それはカバー下の表紙に隠されたタイトルを発見することに似た発見なのかもしれないし、違うのかもしれない。カバーに散らばる文字たちをタイトル/詩にまとめることは可能だろうか。

(その後また詩集を開いて本文にちりばめられた詩行をまとめなおすことだって可能かもしれない。たとえば、

26ページ3行目「まるで中身が波のときだけ手紙が早く届く〔…〕」

40ページ7行目「知ってるけど知らないから知らない人からきた手紙食べた」

49ページ4行目「彼を折りたたんで封筒に入れ速達で森に送る」

これらの詩行は手紙=封筒や波=彼、速達=早く届くといった近似したイメージで、ちょっとした物語的なつながり、波/彼による誤配達されてきた手紙を処分=食べた、となっているにも読める。

あるいは、

4ページ3行目「飛び込んでしまえば建物を突き抜けた明かりが背中を焼き照らすじゃないか」

37ページ5-6行目「影あのように立ちあがって/空を削って燃やす」

57ページ12行目「壁に焼きついた影は影ではないようでいてやはり影とよばれる」

ここには循環する光と影の交代劇がバラバラになっているようにも読める。

さらにべつの宛先・交換先を探し出し繋げなおすことも当然可能だと思われる)

以上の前提を踏まえたうえで、ようやく本題に突入したい。あるいはタイトルの問いから問題を打ち上げたい。この詩集のほぼ中央に位置する27ページ、2段組み、3段組み、あるいは4段組みに段組みされた27ページ、奇妙な詩集のなかでも特に奇妙なこの27ページの衛星軌道にのってぐるぐると思考の深みにはまっていくタイトル/詩についてとうとうと考えてみたい。(つづく)